第4回森と水の再生講座は、奇跡の泉

12月4日(日)は、朝から晴天に恵まれて、参加者大人43名・子ども13名・主催スタッフ7名・矢野さんスタッフ5名の総勢68名で、大盛況の講座になりました。
今回は、「大地の下の水脈を浅川までつなぐ」というテーマで、過去3回の講座の集大成です。山脈から水を集めて流れ落ちる多摩川水脈を、鳥瞰図で眺めながら、落川交流センターのこの場所が水脈のどこに位置しているか、水はどこからどこへつながろうとしているのかを考えます。

第1回講座では、見立てを行い、敷地のどこにどのような造作をするのがよいか、講義を受けました。
第2回講座では、固くなった地面や木の周りに、点穴を掘り炭を撒き、溝を掘って枝葉を詰め、穴や溝にかかる大気圧が地面の中の空気や水を動かすよう作業をしました。
第3回講座では、用水路脇やフェンスの外側の藪に風を通すよう、風の草刈の手法を学んで作業をしました。
そして、第4回講座では、浅川までの地下の水脈を意識しながら、フェンス外の水脈に点穴を掘り、敷地内では弱っている木の周りやアスファルトを敷いた園路の周囲に表層5cmの溝をつけ、落ち葉でグランドカバーを行いました。

講座の終盤、最後の1時間の作業を気合を入れてやっていこう、とみんなで動き出したそのとき、奇跡が起きました!

プレハブ倉庫の裏手の草原に、いつまでも消えない、水気がどんどん増えてきているぬかるみがあり、そこの周囲を矢野さんが探索棒でつついて調べてくださったとき、なんと水が湧き出てくるように!
昔あった井戸の空気穴のパイプが出てきて、その脇からコンコンと水が湧き出てきます。
これまでの成果として、地中の空気や水が動き出した結果、どこかで詰まっていた水が出口を求めて、とうとう顔を出したのです。
水の行き場を作るため、地形に沿って水の行きたい方向を探りながら溝を掘っていくと、田んぼの水が流れ落ちる小さな沼地にたどりつきました。その沼地は、田んぼに水がある頃は水たまりだったのですが、そこに風が通るようにして空気が滞らないように風の草刈をしていました。今は、田んぼの水を抜いているので、沼地は水気がなくひび割れています。
その沼地のひび割れに向かって、湧きだした水は小川となって流れ出しました。
矢野さん曰く「ひび割れて干上がっているのは、程久保川から浅川に向かって流れる地下の水脈につながって水が浸透した結果。この沼地で、浅川につながっている」とのこと。なんと、本当に浅川とつながりました!

最後はたき火を囲んで、暗くなる中の振り返り。様々な想いを持って参加いただいた方たちと、今日の軌跡(奇跡)を分かち合いました。

2,3日後の雨降りの翌日、現場に行くと、作業をしなかった駐車場には大きな水たまりが引いていないのに、溝を切った建物前広場は、水たまりは一切なく、落ち葉がしっとりと敷き詰められていました。たった一日でも、数十人で行った結いの作業の成果は、こんなにもすぐに表れました。

そして泉は、一週間たった後もコンコンと湧き続けています。
春には、小川のへりにも草が生え、新たなビオトープになりそうです。

年明け2023年1月14日(土)には、日野市立七生公会堂にて、映画「杜人」自主上映会を行います。

矢野さんのこれまでの軌跡、大地の再生の手法がわかりやすく、感動的に描かれています。なんと、昨年の落川交流センターでの講座の様子も、ラスト5分間に登場します。詳しくはこちらへ。